バリアフリー設計と給排水設備

バリアフリー設計とは、高齢者や身体障害者が生活をしていくうえで障壁(バリヤ)となるものを除去し快適に生活できるように設計する考え方です。給排水設備関連においても、バリアフリー設計は重要な要素となります。以下では、バリアフリー設計と給排水設備の関連について詳しく見ていきましょう。

1.バリアフリーな水廻り空間

バリアフリーな水廻り空間は、高齢者や身体障害者などの方々が安全かつ快適にトイレや浴室を利用できるように設計された空間です。

① 広々としたスペース
バリアフリーな水廻り空間では、車椅子や歩行器を使用する方々が安全に移動できるよう、広いスペースが確保されます。トイレや浴室の入口や内部は、十分なスペースが確保されていることが重要です。

②動線の確保
トイレや浴室などの水廻り空間では、移動の障害となる障害物や狭い通路を避け、安全かつスムーズな移動をサポートするために、適切な動線が設計されます。これにより、利用者がストレスなく移動できる環境が整えられます。

③段差の解消
バリアフリーな水廻り空間では、段差や高低差をできるだけ解消することが求められます。床面の段差や浴槽の高さなどが、利用者の移動や利用に支障をきたさないように設計されます。

④アクセシビリティ機能
トイレや浴室などの水廻り空間には、車椅子や歩行器を使用する方々が利用しやすいよう、アクセシビリティ機能が備えられることがあります。例えば、高さ調節可能な洗面台やトイレ、手すりの設置などが含まれます。

⑤安全性の確保
利用者の安全を確保するために、滑り止めの床材や手すり、手すりの設置などが行われます。これにより、利用者が安心してトイレや浴室を利用できる環境が整えられます。

2.水栓の操作性

水栓の操作性は、特にバリアフリーな環境において重要です。水栓の操作性が良好であれば、高齢者や身体障害者などの方々が簡単に水を利用でき、日常生活の品質が向上します。

①操作の容易さ
水栓のレバー、ノブ、またはセンサーがどれだけ簡単に操作できるかが重要です。特に、手の力や柔軟性が制限されている人々にとっては、操作が簡単で軽い力で開閉できる水栓が好まれます。

②レバー式水栓
レバー式の水栓は、特に操作が容易で人気があります。レバーを上下させるだけで水の流れを制御できるため、手の動きが制限されている人でも利用しやすいです。

③温度調節のしやすさ
温水と冷水の調節が容易であることも重要です。温度調節がスムーズに行える水栓は、熱湯や冷水を調節する際に、利用者が火傷や凍傷を防ぐのに役立ちます。

④センサー式水栓
センサー式水栓は、手をかざすだけで水が出るため、特に衛生的で便利です。操作が非接触であり、手の力を必要としないため、高齢者や身体的に制限のある人々にとって特に適しています。

⑤押しボタン式水栓
押しボタン式水栓は、一定の時間だけ水を出すように設計されています。これは、水の無駄を防ぐだけでなく、誤って水栓を開いたままにしてしまうことを防ぐのに役立ちます。